世界の音楽情報誌「LATINA」×熊本シティエフエム791「SERENA SERATA」×蔦屋書店熊本三年坂

世界の音楽情報誌「LATINA」
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熊本シティエフエム791「SERENA SERATA」
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蔦屋書店熊本三年坂
熊本シティエフエムで毎月金曜日17:00-18:55で放送されているワールドミュージック専門番組「SERENA SERATA」で
毎月1回世界の音楽情報誌(今はWeb版)「LATINA」が選ぶする3曲をお届けしています。
蔦屋書店熊本三年坂では、LATINAの花田勝暁氏のコメントと共に、収録アルバムをご紹介します。

 

今月の3曲

アーティスト名:BaianaSystem(バイアーナシステム)

曲名:Corneteiro Luís(コルネテイロ・ルイス)

LATINA編集部 花田勝暁氏コメント

4月22日、バイアーナシステム(BaianaSystem)が4枚目のアルバム『オシェアシェエシュOxeAxeExu』をリリースしました。
21曲入りの大作ですが、とても意欲的な試みでリリースしていて、今年の2月から、アルバムの楽曲を3枚のEPに分けて、時間をかけてリリース。
それらの曲を再配置し、新曲も加え、アルバム『OxeAxeExu』としてリリースしました。

バイアーナシステムは、デビューアルバムをリリースした後の2013年、フジロックで来日していました。
その時は、まだ、バイアーナの音楽にレゲエやダブをミックスした新しいミクスチャー音楽を演奏する若手バンドの1つという雰囲気だったんですが、その後、あれよあれよと現地で人気が出て、近年はサルヴァドールのカーニヴァルで最も熱狂的に支持される全国区の人気バンドになりました。
emagazineLATINAでは、今月中にバイアーナシステムの軌跡をまとめた特集記事掲載予定です。

2019年の前作から2年経てリリースされた新作のテーマは、「アフロ・ラテンの旅」。
前作までで確立したバイアーナシステムの音楽に、中南米各国のアフロ・ラテンのリズムがミックスされる強力なアルバムとなりました。

今日紹介する「コルネテイロ・ルイス Corneteiro Luís」は、「バイアーナシステム meets サルサ」などこを切ってもバリかっこいい曲です。
曲の冒頭にトランペットのソロがありますが、このトランペットが曲のテーマに関係あります。

ブラジルがポルトガルと戦ったブラジル独立戦争のときの話で、1922年頃の出来事。

バイーアはポルトガル軍に包囲され、バイーア独立軍(レジスタンス軍)は弱体化していました。
ポルトガル軍の猛烈な攻勢の中、司令官がバイーア軍に所属していたポルトガル人のトランペット奏者のルイス・ロペスに、「退却」の合図を鳴らすよう命じました。
しかし、ルイス・ロペスは、命令に従わず、「前進、切り込め」という合図となる音を吹きました。
それを聞いて、それがルイス・ロペスが意図したものであったかわかりませんが、ポルトガル軍はバイーア軍が援軍を得たと考え、ポルトガル軍が無秩序に逃げ出し、バイーア軍が勝利。バイーアの独立は決定的になりました。

「コルテイロ・ルイス Corneteiro Luís」の歌詞では、このエピソードが語られています。

アーティスト名:ドメニコ・ランセロッチ

曲名:Snake Way(スネーク・ウェイ)

LATINA編集部 花田勝暁氏コメント

2019年、政府が悪化したブラジルからポルトガルのリスボンに転居したドメニコ・ランセロッチが2021年3月末、ポルトガルのレーベルから新作『Raio』を発表した。
タイトルの意味は「光線」。デジタル・リリースでCDは出ていないが、5月末にアナログ盤が限定発売される。

自身のリーダー作は、ドメニコ+2名義のファースト『Sincerely Hot』(2002年)、初のソロ・リーダー作『Cine Privê』(2011年)、ハイ・ラマズのショーン・オヘイガンとの共同プロデュースを中心とする『Serra dos Órgãos(オルガンス山脈)』(2017年)以来4年ぶり、通算4作目となる。
シンガー/ソングライター/リズム・クリエイターであると同時に、現代画家/造型作家/デザイナーでもあるドメニコの音楽は、映像性が強い。
このアルバムも、ほとんどの曲がメドレーのように切れ目なしで続いて聴き手のイマジネーションをかきたてる。

約20年前、颯爽と登場しネオ新世代と呼ばれたドメニコも、来年で50歳。天性のユーモアと悪戯の精神は健在だが、音楽の中に大人の寛ぎが感じられるようになってきた。
このアルバムについては、e-magazine LATINA での中原仁さんが連載「勝手にライナーノーツ」」でも取り上げているので、そちらも参照してください。

アーティスト名:エリゼッチ・カルドーゾ

アルバム名:Ao Vivo Em Tokio _ 1977

曲名:Barracao

LATINA編集部 花田勝暁氏コメント

今回の放送日の5月7日は、時代を越えて愛され尊敬された不世出の歌手エリゼッチ・カルドーゾ(Elizeth Cardoso|1920年7月16日 – 1990年5月7日)の命日でした。
「歌の貴婦人」「ヂヴィーナ(女神)」「サンバ・カンサォンの女王」など幾多の称号で称えられ、ブラジル音楽史にその名を刻む名歌手です。

今日は彼女の代表曲の中から、1952年、最初のヒット曲である「Barracão(丘の上のあばらや)」を紹介します。
しかも、ブラジルでリリースされた初来日公演の音源を聞いてもらいます。
「サンバ・カンサォンの女王」ということで、しっとりとした歌い方の印象もあるかもしれませんが、この歌は、エリス・レジーナに連なる感じといいますか、溌剌とした抜けるような歌い方をしています。
歌詞は、「トタン屋根のあばらや/私の国の伝統/トタン屋根のあばらや/貧しさの現れ、不幸」と歌います。
彼女の民衆の心を代弁する歌い手としての側面がよく現れている1曲と言えるのではないでしょうか。

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熊本シティエフエム791

毎月金曜日 17:00-18:55
パーソナリティ:久間 珠土織

大人の魅力を、落ち着いた雰囲気で流す番組。
フレンチ・ブランジリアンミュージック・ラテン・ハワイアン・ヒーリング・カンツォーネなど色々な音楽を、様々なゲストを迎えてお送りしています。